都構想になると大阪市民の税収の多くは大阪府に一旦吸い上げられるため、特別区の自前(自主財源)の税収だけでは自治体の運営ができません。
このため、大阪府から財政調整交付金というお金を各特別区は受け取ることになります。しかし、現在、財政調整交付金として特別区に渡せる税は3種類(法人市町村税、固定資産税、特別土地保有税)に限られています。
都構想になると、新たな庁舎整備、システム構築、公務員増によるコストの増加が発生するため、これだけでは特別区が行政運営するお金として足りません。
財政収支の見通しにおいて、特別区は収支不足による赤字が発生する可能性があります。そうなると、大阪市がこれまでコツコツ貯めてきた貯金(財政調整基金)を取り崩していくことになります。
現状の貯金額で本当に将来、特別区で発生する赤字をすべて補填することができるのかは、特別区が設置されてみないとわからない不透明な状況です。
大阪市は政令指定都市なので、個人市民税、固定資産税、法人市民税など7種類の税収が自主財源で、6600億円の税収があります。これに地方交付税などを加え、歳入は約8600億円です。
これは総合区になっても変わりません。 特別区では個人市民税、軽自動車税、市たばこ税の3種類の税収のみが自主財源であることから、特別区では約1800億円と税収が4分の1に減少します。これに財政調整交付金や目的税交付金を受けて、特別区の歳入は約6600億円となります。
では現行の大阪市8600億円と特別区6600億円の歳入差額の約2000億円は一体どこにいくのでしょう。これらは大きくは大阪府の財源となります。
大阪府は府下の市町村の自治体間の貧富の格差を埋めるために「所得の再分配」を行うことになり、旧大阪市民の税金は市外に流出することにならないか。この約2000億円は、市内の行政サービスの費用に全額が使用されるとは限りません。
特別区になると、
市税約2000億が府に移動するため、行政サービスが低下する可能性がある。